星々は呼吸する
苦しい。喉の奥がきゅうと締め付けられて、私もちゃんと呼吸をしているはずのに、心臓は動いているはずなのに、苦しい。こんなにもどかしいことって、ない。
どうせ黒崎は痛くもかゆくもないんだろうけどね。くそう、悔しい。
「黒崎って、絶対結婚できないよね」
「……は?」
悔し紛れに放った、何の脈絡もない台詞。案の定、彼は怪訝な顔をして首を傾げてみせる。
「大人になっても、きっと頭は四六時中星のことばっかりでさ。女の子のことなんか眼中になし、むしろ俺は星が恋人だ、って真顔で言ってそう」
……ああ、目に浮かぶ。そんな彼の未来像が、ありありと。
自分で言ってなんだか悲しくなってきた。息を吐きつつ目頭を押さえれば、黒崎の間の抜けた声が耳に届く。
「俺のこと、そんなふうに思ってるの?」
「うん。もう、今まさに」
「………」
あれ、黙っちゃった。ふと視線をやると、私の隣には何とも形容しがたい複雑な表情をした黒崎くん。
……え、そういう反応?
「あの、黒崎、」
「……別に俺、四六時中星のことしか考えてないってわけじゃないから」