奪うなら心を全部受け止めて


…寝ぼけた。んな訳…ない。確信犯だよ。
…。寝ぼけたって、誤魔化したんだ。

「ごめんごめん。嫌〜、悪い。本当に寝てたんだな、俺。
なーんも記憶無いって事は直ぐ寝た?…のかな?悪かったよ、ごめん」

「はい。直ぐです!もう、ずっとです。一度も目覚める事もなくでした。いびきはかきませんでしたけど。…お陰で私は肩が凄く痛いです。重かったです」

「ごめんごめん。そんなに怒るな?
あ〜、ジュースとか飲むか?ほら、フレッシュなやつ。女子は好きなんだろ?
そうだ、クレープでも食べるか?な?…佳織ちゃん?
それとも、がっつり御飯に行くか?」

「…もう。クスクス。大丈夫です。別に怒ってないです」

…それよりもキスの方が気になる。……。告白も。あれは…。ん゙ー。

「でも、折角だから、あそこに行きましょ?」

移動販売のクレープ屋さんがテーブルや椅子をセッティングしているところが目に入った。

「おし、解った。行こう」

手を繋がれた。…ドキッ。やっぱり変。
今日は色々あり過ぎてそのせいでドキドキしてしまう。ダメダメ。全部カムフラージュなんだから。変に気にかけちゃダメ。
首をブンブン振る。うわ~、ぐらついちゃう。

「ん?どうした?こけるなよ?」

「…何でもない、です。私、ミックスベリーにクリームチーズがいい」

「もう決めてんのか?」

「うん。あと、ジュースは、モカジャバ、ん〜、レギュラーで」

「ジュースも決めてんの?」

「うん。だって好きなモノは変わらない、決まってる。だから、どうしてもそうなっちゃいます。それでいいと思ってると、変えられないかもです」

「ふ〜ん。待って。
…俺はまだこれからだから」
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