奪うなら心を全部受け止めて
じっと目を見つめた。
左手の薬指に指輪を嵌めた。
「これは佳織と俺の唯一無二の指輪だ。二人で一つだ」
そう言って、指輪に口づけ、私に口づけた。
触れただけの長いキス。まるで誓いのキスのよう...。
これは...まるで結婚式。
「結婚式でマリッジリングを一度だけ嵌めるけど、その日だけだ。だから許して欲しいって、心の中で言った」
抱きしめた。佳織が頷く。
「佳織、この指輪は佳織と俺のモノだ。佳織がこれからここにずっと嵌めていてくれていること、これが二人の全てだよ。
あ、これは言ってなかった言葉だ。
なんだか沢山言いたくなるな」
優朔が頭を掻いた。
「ここにこうして嵌めている事は、優朔の気持ちはずっと私にあるって事よね?」
「ああ、そうだよ。俺の全ては佳織のモノだ。
心も身体も佳織に捕われている。佳織に俺を受け止めて貰えなかったら、俺は…」
「優朔、好きよ。大好き。...ずっと好き」
佳織から唇を重ねた。
んん、ん...。
「佳織、...苦しい」
優朔が佳織の顔を包みそっと離した。
「胸が切なくて苦しい...。佳織、好きだ。大好きだよ...」
唇に頬に何度もキスをする。
佳織、何があってもこの指輪は外さないでくれ。
外さないでいてくれる限り、俺の心は永遠にお前のモノなんだよ?
佳織の気持ちもここにある。
二人が同じ想いだと信じ合える証しなんだ。
「佳織...、俺の心はずっとお前に奪われたままなんだよ。今も、これからもずっとな」