奪うなら心を全部受け止めて
「…小さい頃は解らないわ、感情なんてね。
そんな事より、いつも一緒に居る事が当たり前過ぎて…このままずっと…私の隣には優朔が居るものだと思っていたの」
そこまで話すとゆっくり振り返った。
っ。息を飲んで終った。圧倒されたから。
恐い…。燃えるような目だった…。静かな話し方、…なのに、こんな表情をしていたなんて。
「優朔がいきなり誰かに告白するなんて、今まで一度もなかったの…。私ね、…自惚れていたの、勝手にね。
何も言ってくれないけれど、優朔も私の事、好きでいてくれてるんだと、そう思ってた。
だから、女の子がどんなに言い寄って来ても、一切靡かないんだって、そう思っていたのね。
…でも、それは…違ったみたいね。
つき合わないのは、自分が特定の誰かとつき合ったら、その子が酷い目に合うかも知れないって…、護りきれなかったら傷付けて終うからって。そんなの…ずるいよね。今まで…好きになった子もいたって事だし、…私じゃないって事よね。
聞かなくても、言わなくても、そういう関係にはなれないんだって…解って終った。
幼なじみは、幼なじみ。それ以上の感情は私にはないって事。
ごめんね、一人で馬鹿みたいに語って。
でもね、あなたに知ってて欲しかったの。私にとっては優朔は幼なじみじゃない…て事。
どんな形になっても、私は優朔の事がずっと好きなんだって事。
長い間思い続けているこの気持ちは、簡単には終わらせられないって事」