奪うなら心を全部受け止めて
「佳織ちゃん、一緒に帰ろ?」
俺は佳織ちゃんがトイレで濡らされた日の翌日から、早速一緒に帰る事にした。
果林ちゃんと直人君も一緒に教室を出る。
流石にざわついているのは解った。
「大丈夫か?」
俺は佳織ちゃんにそっと耳打ちした。
「あ、はい。今はまだ何も。噂は色々と流れてますけど」
佳織ちゃんも小さい声で囁くように返して来た。
話は帰りながらしよう。
「果林ちゃんは果林ちゃんって呼んでいいよね?」
「はい!勿論です」
「直人君は…」
「直人でいいっす。直人って呼んでください」
「そう?じゃあ、直人」
「はいぃ!…嬉しいっすぅ」
「おいおい…、果林ちゃんはカムフラージュで、実は…って事、ないよな?」
最近…コッチかって話す事、多いな…。
「ないです、ないです。俺、果林の事、好きですから」
「やだぁ…、直人」
「でも、それはそれで、…これはこれでというか、仲城さんカッコイイから、一緒に居られるの凄い嬉しいっす」
「そ、そうなん?…」
「はい。あ、すいません。俺ら、こっちなんで、此処で。じゃあ、佳織ちゃん、また明日」
「うん。果林ちゃん、直人君、バイバイ」
「じゃあな」
「はい。佳織、また明日ね」
……。
「二人になっちゃったね?さ〜て、佳織ちゃん。早速だけど、手、繋ぐよ?」
「あ、はい。宜しくお願いします」
「あ、堅い、堅い。あ〜、まだなり立てホヤホヤだから、堅くていいのか…。うん、うん。
こちらこそ、宜しくお願いします、だね」