トナリの照れ屋さん
第1章
転校生
「緒形君」
授業中、ずっと机に突っ伏して夢と現実の境目をさ迷っていた俺は授業が終わった後もそのままの体制でずっと深い眠りへの旅にどうすれば行けるのかについて考えており、俺を呼ぶ、そのか細い声を危うく無視するところだった。
ちなみに緒形君というのは俺の名字だ。一応、自己紹介をしておこう。俺の名前は緒形修吾。趣味は野球で特技は昼寝だ。
「……ん?」
俺がわざとらしい声を出しながら顔を上げれば二人の女子が目の前にいた。一人は先程俺をか細くかつ可愛らしい声で呼んだ背の小さなこのクラスのアイドル、文月槙乃ちゃん。もう一人は、俺の幼なじみであり学級委員も務めるがさつ女、神崎未来。
外見も性格も正反対な二人だが大親友とのこと。俺が見ている限り朝から晩まで一緒にいる。
「あ、あの……、緒形君! 緒形君に相談が……」
「俺に? 別に俺はいいけど。俺でいいの?」
「はい……、緒形君じゃないと頼めない相談なんです」