それが伝え方なのです
「むり!!」
やだやだと静くんの腕から逃れようとするもののできるわけがなく、静くんにしては珍しいぐらいぎゅーっとわたしの頭を胸元に押し付けてくる。
しかもどことなく楽しそうだ!笑ってるし!
「静くんっ」
あれはほんの気の迷いというか一過性の悪い菌に乗り移られていたというか!だからえっとその…!
そんなことをあわあわと言いつつ羞恥から涙を浮かべるわたしに静くんはこてんと首を傾げて。
「だめ?」
子どもみたいに無邪気に聞いてくるのだからわたしの心臓は今までにないぐらいにきゅーんとしてしまった。それはもう過去最高にトキメキました。
やばい…何がやばいってこの破壊力がやばい。子どもみたいな仕草と表情なのにふわりと漂ってくるのは大人の色気だ。これで陥落されない人なんていないんじゃなかろうか。つまり、
(ま、負けた…)
ガックリと肩を落としつつも静くんはわたしが負けたことをわかったのか嬉しそうだ。うぅ、ずるいよ静くん。
でもあのときはてっきり怒られるかと、あるいは引かれるかと思ったのに逆にしてほしいと言われるとは。まさかの展開である。
本当にしなきゃだめ?と最後の悪あがきにそろりと視線を上げると「ん?」と楽しげな静くんの姿。あうぅ、やっぱりしなきゃだめなのかぁ…