それが伝え方なのです
目の前の現実が飲み込めずにパチパチと瞬きを繰り返しているとクスリと笑った静くんがそっとわたしの額に触れる。
ひんやりとしたそれが気持ちよくて思わず擦り寄るとクスクスと優しい笑みが落ちてきた。
あぁ、この感じ静くんだ。穏やかで柔らかくてあったかくて…ほんのり甘い。わたしの大好きな静くんの感じ。
「まだ熱あるね。大丈夫?」
細くて長い綺麗な指が額にかかっていた前髪をサラリと流して頰を撫でる。
その冷たい指先が与えてくれる心地よさにうっとりしながらもコクリと頷いた。
「ね、なんで静くんがここに?」
仰向けになってベッドに腰掛けて頭を撫でてくれている静くんを見上げる。なんとなく気恥ずかしくて布団は首までというかなんなら鼻の頭まで引き上げた。
わたしも一応乙女の端くれなので。こんな格好は見せたくないというか…パジャマですからね、しかも思いっきり子どもっぽいやつ。さすがに見られるのは避けたいのですよ。
「やよに連絡しても届かなかったから家に来たんだ。そしたらやよのお母さんに頼まれて」
お買い物に行く間だけでもわたしのお世話をよろしくと押し付けられたらしい。何度か顔を見せているとは言え、家の留守を静くんに丸投げとは…お母さんなんてことをしてくれてんだ。