それが伝え方なのです
苦笑しながらこちらにくるのは水無瀬(みなせ)くんと言って中学高校と同じ学校で今も同じクラスだから結構付き合いは長い。
「こんなところで会うの珍しいね」
教室では普通に会うけどわたしは帰宅部だし水無瀬くんはこんなでも意外と美術部に所属していたりするのだ。しかもうまい。
中学の頃から絵も上手だし何かを作るのもうまかった。その手先の器用さがあればわたしももうちょっと女子力あったかなぁ、と今でも思う。
「あー、まぁ、そうだな」
どこか照れくさそうに首裏に手をやる水無瀬くん。んん?この態度、そしてこの曖昧な表現…
にやー、思わずにやけるわたしに水無瀬くんは「げっ」と嫌そうな顔になる。というか仮にも女の子に向かって「げっ」って失礼だと思うんだけど。
「そんな反応してぇ、しーちゃんに言いつけちゃうよ?」
「うわ、お前そういうのほんとやめて」
ちょっと頬を染めて怒る水無瀬くんが変わらなさすぎて我慢できずにあははと笑ってしまった。