それが伝え方なのです
「これでいいか?」
「うん。あ、でももう1回しーちゃんにちゃんと言っといてね!」
念には念を入れておかないと。しーちゃんと仲悪くなるのは絶対やだもん!
わかったよ、と少し呆れたように言って扉を開けるとついているベルがチリンと可愛らしい音を立てた。
「いらっしゃいませ。2名様ですか?」
「はい」
「ではこちらへどうぞ」
席を案内されながら視線を周りに移すけど静くんはいないみたい。今日は料理の日なのかな。静くん接客はあんまり好きじゃないって言ってたし。
というのも静くんはかっこいいから仕方ないといえばそうなんだけど。お客さんに人気の静くんを見るとちょっと複雑。
「矢城は何にする?」
「うーん、じゃあミルクティーで!」
「ん、」
お水を持ってきてくれた店員さんとは何度か顔を合わせていて向こうも気づいたみたい。ちょっと目を見張ってわたしと水無瀬くんを見ていた。
「えっと、君、充岐くんの彼女だよね?」
「へっ?!」
かか、かの、彼女って……!
た、確かにそうなんですがいざ自分で言うとなるとなんだから恥ずかしいようななんというか。
恐らく真っ赤な顔で頷くわたし。ここに何回か来てるって言ってもほんとに数えるほどしか来たことないのに、それで静くんの彼女だって認識されてたのが嬉しいな。