それが伝え方なのです



「とりあえずこのセットとミルクティーを1つ」



水無瀬くんが注文すると店員さんは「かしこまりました」とキッチンの方に行ってしまった。



「矢城、この店の前でオレとカップルに見られたらどうしようって言ってたよな?」


「うん、言った。だってしーちゃんに誤解されたら嫌だもん!」


「(そこでなんで彼氏に誤解されるという発想が浮かばないのか…矢城と姉の姿が被る)」



再び重いため息をこぼす水無瀬くんを見ながらわたしはお水に口をつけた。


お店だけじゃなくお水までオシャレでほんのり柑橘系の香りがする。普通のレストランよりもおいしく感じるから不思議。


コトン、と目の前にミルクティーの入ったカップが置かれる。いきなりのことに驚きつつ顔を上げてパッと自分の顔が輝いたのがわかった。



「静くんっ」



パリッとした白いシャツは少し腕まくりして羽織り、黒いズボンに同じ黒の腰エプロン。


シンプルな格好だけど、だからこそかっこいいというか、ものすごく似合っていてドキドキしてしまう。






< 41 / 127 >

この作品をシェア

pagetop