それが伝え方なのです
「やよ……こっちの人は?」
「へ?」
あ、あれ?心なしかいつもより静くんの声が低い?というか固い?
表情もなんかないっていうか無理やり押さえ込んでるみたい。気のせいかな。
「やよ」
「あ、こちら水無瀬くん。中学からの友達、かな」
どうも、と軽く頭を下げる水無瀬くんに静くんも倣うように頭を下げてからわたしを見つめる。
普段の静くんとちょっと違うから何を伝えたいのか分からなくて困惑の瞳で静くんを見つめ返すと、静くんは眉を寄せてわたしの腕を掴んだ。
「へ?」
何?な、なになになに?!
すべての状況に脳がついていけずにポカンと口を開けたままされるがままに立たされて静くんに引っ張られる。
え?え?なんて混乱したまま思わず周りに視線をさまよわせると、水無瀬くんは呆れたような顔で手を振り、さっきお水を持ってきてくれた店員さんは苦笑していた。
そのままSTAFF ONLYと書かれた扉の中に連れ込まれて内心「うええぇ……!?」と叫ぶものの実際に叫ぶことができるわけもなくおろおろ。
運がよかったらしく他の店員さんはいないみたいでここにいるのはわたしと静くんの2人きり。
「静くん……?」