それが伝え方なのです
ふにゃりと顔をほころばせて幸せそうに呟くやよに思わず目を丸くさせた。
やよに起きる気配は未だになく、むにゃむにゃと気持ちよさげに眠っている。……どうやら寝言らしい。
「夢の中で俺に会ってるぐらいなら、起きてよ」
ほのかな願望を込めて呟くけど、当たり前にやよには届かない。
俺は大学もバイトもあって、やよにも高校があって、お互いほとんど電話やラインばかりで一緒に過ごせる時間は少ない。
だからもう少し俺が遅く生まれてやよと同級生だったらもっと一緒にいられたのだろうかと考えたこともある。
この前その権利があることが羨ましくてやよのクラスメートに妬いたのは記憶に新しい。
帰り際「心配しなくてもオレ、彼女いるんで」と言われてあのときは思わず苦笑した。
大人げないとは思ったけど、やよのことになるとそういうの全部どこかにいってしまう。それぐらいやよのことを手放したくないんだと思う。