それが伝え方なのです



水着?何が無理?


静くんの言葉の意味が分からずに首を傾げる。



「海の時、絶対1人にならないでね。できる限り俺の近くにいること。離れる時も友だちと一緒にいるって約束」



はい、と小指を出した静くんにわたしもおずおずと小指を出すとするりと絡められた。


指切りげんまん、と小さな子どもみたいに小さく歌ってから切ると「いい子」と指先「 に唇が触れた。


ふ、わわ…!!いつものことながら急なっ…こういうことは心臓に良くないよ静くん…!!



「そろそろ行こうか」



先に立ち上がった静くんにわたしも脱いでいたちょっとだけ踵の高い靴を履こうとかがもうとしたら、それより早くに綺麗な手がそっとわたしの足に触れる。



「し、静くん?」



片膝をついてわたしに靴を履かせようとする姿はさながらシンデレラにガラスの靴を履かせようとしている王子さまみたいで。


人目云々の話を抜きにしてもこれはさすがに恥ずかしい!


カーッと羞恥から赤くなるわたしに静くんはクスリと笑いながらもう片方もしようとして。



「じ、自分でできるよっ」



これ以上は恥ずかしいし!いやこれまでも恥ずかしかったけども!そしてちょっと惜しいかなと思わないわけではないけど!


わたわたするわたしに対して静くんは落ち着き払っていてわたしの言葉にもなんのその、ついているリボンまでも綺麗に結ってくれた。




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