それが伝え方なのです
クスリと悪戯に笑う静くんに目の前がくらりと揺れた。ま、周りがちょっと暗いから?それともわたしの目の錯覚?
いやいやどちらでもあるかもしれないけどとにかく静くんがいつもよりもますます色っぽく感じる。
立ち上がってわたしの荷物まで持ってくれた静くんにわたしは座ったまま口をパクパク開けたり閉じたり。
だだだだって仕方ないと思う!あのっ、あれ、あの感触……っ
(静くんの唇みたいだったんだもんんんーっ)
本当にそうだったのかは目を瞑ってしかも顔を覆っていたからわからないけど音も、なんか、似てたし!もしそうなら恥ずかしすぎる!!
「うぅうーっ」
「やよ?(ちょっといじめすぎた?)」
ぽんぽんと頭を撫でられて顔を上げると困ったような笑みを浮かべてわたしにそっと手を伸ばす静くん。
ちょっと(いやだいぶだけど)むぅ、とむくれる自分を自覚しつつその手のひらに自分のを重ねると引っ張られてわたしは静くんの胸の中に収まっていた。
「怒った?」
「お、こっては、ないけど…」
恥ずかしかったです、ともそもそと答えればクスリと静くんは小さく笑って。
「さっきの約束守ってね」
甘くわたしの耳元でそう囁いた。
指先へのキスは『賞賛』の意味、脛へのキスは『服従』の意味
あなたと交わす約束に従ってしまうのは、そのときの笑顔と褒めてくれる声にわたしが囚われているからなのです