それが伝え方なのです
足が完全につくまで静くんに支えてもらって、そのあとは手を引かれて海から上がった。海の中で静くんの手だけが熱を伝えてきてそれにもドキドキして大変だった…
さーやんたちは何をしているのかと探してみると向こうの方が先に気づいて手を振ってきたのでわたしも手を挙げた。お財布持ってるところから見て何か買うのかな。わたしも喉乾いたから一緒に行きたいかも。
「静くん、わたしもさーやんたちと何か買ってくるね!」
ちょっと小走りで行こうとするけどぐい、と引っ張られて逆戻り。あれ、これもデジャヴ?
パチパチと瞬きをしてそんなことを考えていれば繋がれた手が持ち上げられて手首に何か押し付けられた。
チクリとした痛みに小さく声をあげると静くんがクスッと艶やかに笑う。え?何?今何されたの?
ちょっと困惑気味に静くんを見上げると「ん?」と小首を傾げてくる。いや、今なにをしたのか気になるのですが。
でも柔らかく微笑む静くんを見ただけでぽーっとしちゃってまぁいいやって思っちゃうんだよね。うぅ、なんて流されやすい…
「やよ、行っておいで」
「あ、うん」
そっと送り出してくれる静くんを一度振り返り、わたしはゆーみんとさーやんのもとに向かった。