親友 コトバは罪より重い
それは担任も同じだった。
担任の雪村先生は、みんなが加藤さんをいじめている事を認識しているはず。
でも、受け持つクラスにいじめがある事を認めたくない。
受験が近いからという理由で加藤さんに手を差し伸べたりしていない。
むしろいじめを解決した方が教師として評価は上がるのではないかと私は思うのだけど先生は違うのかな。
いずれ加藤さんの親が学校に乗り込んでくるかもしれない。
その時、先生はどう対処するのだろうか?まあ加藤さんが親に『いじめられている』と話した場合の話だけど。
加藤さんは、きっと話さない。
いじめられている事を話すのには、かなりの勇気が必要。
その勇気を加藤さんは持っているのか私にはわからない。
でも精神的に追い詰められ受験勉強もできていないのではないか。
いじめられるとわかっているのに学校に来ているのは加藤さんなりの理由がある。
受験は大きな魔物だ。
受験さえなければ尾崎さんの様に欠席する事ができたかもしれない。
そもそも受験の内申点は中二の一学期から中三の二学期までだから登校しても授業に参加しても何も意味なんてないのに学校に来る加藤さんはプライドが高いのかもしれない。
プライドを捨ててしまえばいいのにと思う私は他人事。
簡単にそう思えるのは私が制裁を受ける標的ではないから。
人間として最低な自分に腹が立つ。
でも何もできない。いじめなんて馬鹿馬鹿しい。思うのは自由。
だけど実行できなければ、ただの弱虫。プライドなんて簡単には捨てられない。
それは何故か。それは幼い頃から身に付いているから。
でもこのままだと加藤さんは精神をボロボロにされ受験に失敗するのがオチ。
私にできる事は何か。
やっぱり尾崎さんから全てを聞くしかない。
当の本人は嫌だろうけど、このまま加藤さんが犯人呼ばわりされるのも良くない。わからない事だらけだけど何が本当で何が正しいのか私は知りたい
正義を気取るつもりはないけど、こんな形で卒業したくない。自分勝手な思いだけど全ての解決の鍵を握っているのは尾崎さんなのだから。