親友 コトバは罪より重い
進路変更
放課後、私は進路指導室に入った。
梶谷さんが沙耶と約束をしていた高校のパンフレットがないか確かめるためだったけど
先客がいた。
同じクラスの蒼井くん。
ぶっきらぼうなところがあるけど根は優しい。
静かながら女子から人気がある。
そして沙耶の死の第一発見者でもある。
「受験校、変更でもするのか?」
蒼井くんの質問に私は頷いた。
すると「俺も」と言ってパンフレットを探し出した。
「親と喧嘩したか?」
「急だったから少しは言い争ったかな」
当たり前だ。
願書を出しに行くのは一週間後。
共学志望だったのに女子高に行きたいと言った時の親の驚き様は今でも目に焼き付いているぐらいだ。
志望校変更理由は色々考えて適当に誤魔化した。
言えるはずがない。
本当の目的を。
「なぁ日比野」
「何?」
「梶谷が言っていた犯人。三人の内の一人が加藤だと思うか?」
いきなり加藤さんの話になって、つい持っていたパンフレットを落としそうになった。
私は、素直にわからないと答えた。
何でそんな事を聞くの?と次は私から説明してみたら
お前は加藤のいじめに加わってなかったからと答えた。
でもそれは蒼井くんも同じでしょ?
私たちはただの傍観者。