アナタがここにいる、それだけで・・・・・・【ぎじプリ】
少し強引に上を向かせられたわたしの顔は、薄暗いひんやりとしたこの場のそぐわず赤く火照る。
「また『お局様』に意地悪されたか」
片方の口の端をニヤリと上げた彼の図星に、コクンと首を動かした。
「・・・・・・たしかに、ミスしたのはわたしなんだけど」
取るに足らない小さな失敗。
それでもミスはミスで。
わたしは、すぐにきちんと修正をしたつもりだった。
「なのに、ずっとねちねちと言い続けるの」
それはお昼休みを挟んでも続いて、もう我慢の限界。
3時のお茶入れを自ら買って出た勢いで、アナタの元へ来てしまった。
「そうだな。ミスをしたことは、おまえの非だ」
抑揚のない声音で紡がれた声に、ビクリと肩が揺れる。
唇と噛んで、また熱を持ち始めた目頭に意識を集中させた。
気を緩めると、また涙を零しそうになるから。
と。
温かい手のひらが、わたしの頭の上でポンポンと2回跳ねた。
「でもちゃんとリカバリーしたんだろう?なら、おまえにはもう責任はない」
せっかく整えてくれた髪がまた乱れるほどクシャッと撫でられる。
そのまま引き寄せられ、おでこがコツンと頼りがいのある肩に乗せられた。
「偉いぞ。ミスも取り返して、理不尽なイジメにも負けないで」
偉い、偉いと、大きな手で頭を捏ねくり回されて。
まるで子どものような扱いに、わたしは口を尖らせた。