完璧上司の秘密を知ってしまった件について
(何処に連れて行かれるんだろう)

内心ビクビクしながら、須藤課長の後ろを追いかける。

(…って言うか、足速すぎ!足の長さが違うんだから、ちょっとは考えてよね‼︎)

と、毒づきながら、なんとかついていく。

…だんだん不安になってくる凛。…無理もない。繁華街を抜け、街頭がポツポツあるような場所。ほとんど店もなく。

(逃げたい)

と、思った瞬間、須藤課長が足を止めた。

レンガの壁に、洋風のドア。映画に出て来そうな佇まい。

須藤課長は、凛がいる事を確認すると、中に入っていく。凛も慌てて中に入る。

(うわー、本当に映画のセットみたい)

そんな事を思いながら、ポカンと口を開けて辺りを見回す凛に。

「…ブサイク顔」
「…」

と、毒を吐かれ、凛はゲンナリした。

「圭吾、可愛い女の子に、ブサイク顔なんて、失礼だよ」

その声にお⁈と、思いながら、凛が目を向けた先は、BARのカウンター。そこには超絶イケメンのバーテンダーが、凛を見て、微笑んでいた。

「…どいつもこいつも…コイツの何処が可愛い?」

と、また毒を吐いた須藤課長は早くも頼んだビールを飲んでいた。

「…君、名前は?」

須藤課長の毒などもろともせず、バーテンダーが凛に問いかける。

「佐伯、凛、です」
と、緊張の面持ちで名乗った。
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