完璧上司の秘密を知ってしまった件について

酔っ払いに絡まれた凛を、新が助けていた。

酔っ払いが逃げるように去ると、凛は新の顔を見るなり泣き出し、新が、凛を抱き寄せた。

（…なぜだ。なぜ、こんなに胸が痛い？）

そう自分に問いかけるも、わからなかった。

周りの好奇の眼差しなど、今の2人には、全く気にならないのか。

相変わらずグスグス泣く凛を連れ、新は公園の方に向かって歩き出した。

…もう少し早くここを通っていれば、凛を助けたのは自分だったかもしれない。

なぜそんな事を思うのか。その思いを掻き消すように、須藤課長は再び歩き出した。

…暗いオフィスに電気をつけると、自分のデスクで、書類の整理をして、今日の業務がやっと終わった須藤課長は溜息をついた。

ふと、動かした視線の先に、凛のデスク。その上には、ぐてたまちゃん！のキーホルダーが忘れられていた。