完璧上司の秘密を知ってしまった件について
「…ふーん」
「だから、俺が泣かせたわけじゃない事は分かってもらえましたか?」

「うーん」
「秋夜さん!」

ビクつく新を面白がってイジメる秋夜に、凛は一喝した。

「お兄ちゃん!新をイジメないでよ!助けてもらわなかったらどうなってたか」

と、また目を潤ませた凛を見て、秋夜は溜息をついた。

「わかった、わかったからもう泣くな!明日会社に行けなくなるぞ」
「…ぅ」

秋夜の言葉に泣く事を我慢する凛。

「…新、悪かったな。家逆方向なのにわざわざ連れて帰ってくれて」
「…いえ、大した事じゃないんで。それじゃあ、帰ります」

「待って、新君!」

リビングから、母が飛び出してきた。

「…ぁ、叔母さんお久しぶりです」
「本当に!ねぇ、良かったら晩ご飯食べて行ってよ!」
「いや、明日も仕事だから、遠慮しときます!」

「何言ってるの!このまま泊まって、ここから出勤したらいいじゃない!ワイシャツなら、秋夜のがあるし、なんならネクタイも!」

「「「…」」」

…結果、この勝負に勝ったのは、母だった。
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