完璧上司の秘密を知ってしまった件について
最初からそうだった。母は、新がお気に入りで、どうでもいい理由をつけてはうちに泊めていた。

(年頃の女の子がここにいるんだけど)

毎回そんな事を思う凛だが、1番始めに一度だけその事を口にした事があったが、『あら、女の子だった?』と言われ、無駄だと思った凛は、言うのを止めた。

「…て、なんで新がここで寝るの?」

凛のベッド横の床に、布団が敷かれている。新は何の迷いもなく布団に入ってスマホを操作している。

凛の言葉に、目線だけを凛に向けた。

「俺が知るか。叔母さんが勝手に敷いたんだから」
「あのね、新。私も一応いい歳した女なんですけど?」

「…そうだっけ?」

(こんのヤロー⁈)

凛は、新を睨んだが、知らん顔。

「ねむっ。俺寝るわ、おやすみー」
「新!」
「…」

凛の言葉などお構いなしに、新は布団を被って目をつぶってしまった。

溜息をついた凛も、仕方なく豆球にして、ベッドに潜り込んだ。



…眠れない。

掴まれた手首がまだ疼いて。

「…凛」
「…寝てなかったの?」

「…寝られないのか?」
「…ん、んー」

気の無い返事に少し黙った新だったが。

突然、新に手を握られて、凛は驚いた
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