完璧上司の秘密を知ってしまった件について
「せっかくのデートなのに、ずっとこの調子なの。楽しくないったらない!」

そう言った美雨は、不機嫌な秋夜を睨む。…流石の秋夜もバツが悪くなったのか、美雨から視線を逸らした。

「喧嘩でもしたんですか?」
「ううん、待ち合わせ場所に来た時から、ずっと不機嫌な顔なの。…理由知ってる?」

…理由?首を傾げ、秋夜を見ると、…睨まれた。

「…私、なんかした?」
「…凛が、あの男を連れてきたのが悪い」

(あの男…って、まさか、須藤課長の事?)

「…お兄ちゃん、須藤課長とどんな関係なの?」
「…須藤課長?須藤…須藤…須藤、圭吾?」

凛の言葉に、反応したのは意外にも美雨だった。

「美雨さん、須藤課長をご存知なんですか?」

「うん、大学の時の同級生。…私の片思いの相手」
「…へ?…えーーーつ‼︎」

(美雨さんの片思いの相手って⁈)

パニクる凛の頭をなぜか秋夜にはたかれた。

「痛い‼︎何すんのよ、バカ兄貴!」
「あー、また始まった兄妹喧嘩!みんな見てるから落ち着いて!」

美雨の言葉に、凛と秋夜は黙り込んだ。
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