完璧上司の秘密を知ってしまった件について
・・・新を呼んだのは、やっぱり間違いだったのか?

今は、須藤課長の事より、新の事で、相当怒っている秋夜。このまま、放っておいたら、秋夜が本気で拗ねそうだと思った凜は、新を立たせると、2人に告げた。

「そろそろ、デートに戻った方がいいよ。うん・・・私は新と行くから、今日は私の奢り。じゃね」

・・・この後、秋夜が美雨にどんな仕打ちをするのか、若干不安ではあるが、美雨を溺愛してる秋夜の事だ。美雨の些細な言葉に、胸をときめかせ、簡単に許してしまうんだろう。

ここに呼ばれた意味が全く理解できないまま、新は、凜に引きずられる形で、カフェを出ていった。

「…おい」
「・・・ん~?」

「何で、あんなところに呼び出されたんだよ、俺?」
「…美雨さんの気まぐれだから気にしないで」

「美雨さんって、そもそも誰?」
「・・・あ」

新の言葉に、凜はハッとした。凜と新の付き合いは長い。・・・が。凜の家に来た事があった美雨だが、ただの一度も、美雨と新は遭遇したことがなかった。

「…見てれば、わかったと思うけど、お兄ちゃんの彼女」
「・・・あ~。秋夜さんが尻に敷かれてるって言う、凄い彼女・・・可愛らしい人だな。あの顔で、秀夜さんを尻に敷くって、魔性の女?」

「…ある意味、魔性の女かも」

そう言って凜は苦笑した。

「・・凜、お前これからどうすんの?」
「ん?・・・帰って寝る」

「・・・は?俺をこんな所に呼び出しといて、帰って寝るだと?」
「…だって疲れたんだもん」

「…仕事中の俺を呼びだしといて、帰って寝るだと?」
「え?!新仕事中だったの?…そう言えば、土曜だって言うのに、スーツだね」

…今頃気づくとか遅い。
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