完璧上司の秘密を知ってしまった件について
新とは、ずっとずっと友達として接してきた。隣にいる事が当たり前で、嬉しい時も悲しい時も辛い時も、互いに支え合ってきた仲だ。

…今更、『恋人』なんていう関係になるなんて、凛にはあり得ない事だった。

…須藤課長は?

恋心を抱いたのは事実だが、本当の須藤課長の姿を知って、若干引いてしまったのもまた事実。

逆に、言い合える仲になったのは、良かったのか…悪かったのか?

…悶々とそんな事を考えなくていた凛だったが、ベッドの中でウトウトし始め、いつの間にか眠ってしまった。

…休み明け。凛は、仕事に行くのが憂鬱だった。

「…休もうかな」
「…バカか、お前は?」

まだ凛は、ベッドの中だった。それなのに、そんな声が聞こえて飛び起きた。

「…び、ビックリした!なんで勝手に人の部屋入るのかな?」
「…母さんが煩いんだよ!お前が起きてこないって!」

「…」
「さっさと身支度して下りてこい。置いてくぞ」

「…いいよ、休むから」

と、凛の答えを聞いた途端、秋夜が怒った顔でズカズカと近寄ると、頭をはたいた。

「…仕事とプライベートを一緒にすんな!ったく!新が泣いてたぞ」
「…ぇ」

「…ちゃんと考えてやれ、新の事」
「…お兄ちゃん、新が私の事好きなの知ってたの?」

「…わかってなかったの、お前だけだろ?母さんでさえ知ってるのに…鈍感」
「う…」
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