完璧上司の秘密を知ってしまった件について
「…須藤課長、あの、ありがとうございました」
「…あんなの適当にあしらえばいいんだ」

「そうですよね、すみません…あんな事初めてだったので」

そう言って肩をすくめた凛。しかし、そんな凛を見て、須藤課長は凛を睨んだ。

「…鈍感にも程がある」
「…へ？」

「…向こうは結構本気で口説きにかかってる事が多いみたいだが、お前は全く気づいてないんだな」

「…そんな事ありましたっけ？」

必死に考えているようだが、凛は全くわからない様子。須藤課長は溜息をついた。

「…所で須藤課長、私に彼氏は居ませんが、言葉のあやってやつですか？」

「…全くお前は…噂も知らないのか」
「…は？？」

「元々、お前と三好は仲が良いから付き合ってじゃないかと噂があったが、今回は、恋人の凛と痴話喧嘩して、三好の目が赤いとか噂が流れてるぞ」

「…」

驚き過ぎて声も出ない凛。

「…お前と三好は本当に付き合ってじゃないのか？」
「つ！付き合ってませんよ」

「…この間もデートしたとかしないとか言ってたし」
「…それは」

「…俺がお前に言った事は忘れろ」
「…え？」

「お前が好きだって言った事。お前らの邪魔をするつもりはないから」

凛の顔を見ないまま、須藤課長はそう言って、先に会社の中に入ってしまった。

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