StarDust(仮)
それから他愛のない話をして盛り上がった。
目も冷えたのか、茜はペットボトルを横に置き、起き上がった。
どうしたんだ?
と、少し疑問に思いながらもそれを真似るように俺も起き上がる。
「…あのね。私、いじめられてるんだ。」
真顔になり俺の方に向き直る。
「…泣いていたのはそのせいか?」
「……うん。弱い、よね。」
自虐的な笑みを浮かべながら言った。
「そんなことはない。」
それは本心だ。俺からしてみれば女子は多少弱いほうがいい。
強いに越したことは無いが、自分より強いと護れない。
逆に足手まといになったりするからな。
男は女に格好いいところを見せたい人間だから。
「……ありがと。」
茜は一度目を瞑り深呼吸する。
そして、目を開けてからポツリポツリと話し始めた。
「…私お兄ちゃんっ子だったから遊ぶときとか良く付いて行ってたんだよね。
それで年上の男子の友人とか沢山出来て…。」
なのに口が悪くなってないのはすごいな。俺様総長の妹なだけはあると思う。
自分を貫き通すというか。
「小学校の頃はさ、男子と遊んでてもそこまで悪口とか言われなかったんだよね。
でも、中学に入ると色々言われてさ。辛かったけど…楽しかったから無視してたの。
それで、中学の間は悪口だけだったんだけど高校…お兄ちゃんが白薔薇に入って、私もそれに付いて行くようになった頃かな。
お兄ちゃんとか幹部のみんな格好いいから"恐れ"よりもそっちが勝っちゃって、人気者になって。
その中に私も居たせいで妬まれるようになったんだよね。」
「……それでもお前は白薔薇の奴らと一緒に居たかったんだろ?」
「うん。…でも一人の女子が沢山の男子に囲まれてたらいい気しないでしょ?」
そう俺に問いかけてくる。
俺は少し考えてからコクリと頷く。
確かに友人でもない奴がハーレム状態になっているのはちょっと苛つく。
……でも、女子だと嫉妬になるんだろうな、ハーレムになってみたい。その席変われよ。的な感じで。
俺はウザいと思うだけだが。
「それからだよ。と言っても本格的に始まったのは冬休みが終わった頃。
丁度お兄ちゃんが総長になった頃かな。入れ替わりの隙をついたようにいじめが始まったの。」
「なるほど。それで……今日は耐え切れなくなったのか。」
「……うん。」
茜は俯き、もう話すことは無いというように口を閉じた。