StarDust(仮)



それにしても、兄である信一は気付いていないのか?

……いや、気付かれないようにしているんだろうな。

クラスの男子を口止めしたりして。


俺だって、イジメられてた時は海月にバレないように隠していた訳だし。


「なぁ茜。最近妙な噂を聞かないか?」

「妙な、噂?」


妙ってわけでも無いんだが――と……自分で言っていて変だが……先に一言添えてから喋る。


「一人のいじめられっ子がいじめっ子の一人に頭突きを喰らわせた奴がいるとかなんとか…」

「……――あ。そう言えばあの人たちが言ってたかも。」

「なんて言ってた?」


俺がそう聞くと茜は宙を見て思い出しながら、こう言った。


「アンタは頭突きを喰らわせていじめを解決出来るほど強くないもんね。」


と。


つまりだ。向こうは茜が反論して来ないのをいい事に言いたい放題言っているのだ。

それなら、言い返せばいいだけなんだが…黙っておこう。


「でも、それがどうかしましたか?」

「話が食い違っているところがあるが………それ、俺なんだよ。」

「ええ!?いじめられてたんですか!?……と言うか、頭突き…っ…フフ。」


一瞬、面をくらったような顔をしたと思えば俺が頭突きをするとは思わなかったのか、笑い始めた。

…まぁ、笑わせるために言ったようなものだし。

少しは我慢しようと努力したっぽいしいいか。


「ああ、いじめられてた。と言っても、別に俺は頭突きしてないからな?」

「っあはは!そ、そうなん、ですか?」

「むこうが頭突きして来て、自爆した。」

「えっと…そんなに硬いの?」


瞬きをすると茜は顔を引き攣らせていて。

…なんとなく、百面相でもしているかのようで面白い。


「らしいな。」


俺では確認できないから知らないが。

一応、付け足す。そこまで意味無いだろうが。

信じてない顔してるし。


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