足跡に惹かれて
「「あの!」」

お互いにびっくりして一瞬の間を開けてから、笑いがこみ上げてきた。

「あ、スギタさんからどうぞ。」

「あ、えーっと、....

まだ自己紹介してなかったっすよね。

おれ、杉原太一。

西高二年、バスケ部。」

二年ってことは先輩だ。

それに、杉原太一って、なんだか聞いたことのある名前。

バスケ部...か。

私の探偵ごっこは、あながち間違っていなかったみたいだ。

「私は杉山奈乃です、西高一年です。

えっと、弓道部です。」

そう言うと、

「うん、知ってる。

入学したときから、奈乃ちゃんの事知ってたよ。

でも、全然きっかけなくて...ごめん、俺キモイね。」

入学したときから...?

嬉しくて、嬉しくて。

「あの、良かったら、友達になってくれませんか。」

太一先輩は、顔を真っ赤にしてそう言った。

私は、もはや脊髄で反応するかのように、

気づいたら

「はい!」

と言っていた。
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