足跡に惹かれて
帰りは、朝を思い出して同じ道を戻る。

それだけで、にやけてしまう。

「ふふっ」

「なーに、笑ってんだよ。」

この声は...

「太一先輩!」

帰りが一緒になるのは初めてだ。

いつもはずっと前を歩く先輩と、隣に並んで歩いている自分がいた。

なんて、幸せなんだろう。

たわいもない話をして歩く。

すると、すぐに分かれ道に着いてしまった。

「じゃ。」

「はい、また。」

そう言って、先輩が行くのを見送ろうとすると、先輩がなかなか後ろを向かない。

「??」

「あ、いや...んじゃ。」

そう言って、今度こそ後ろを向いた。

先輩も、名残惜しいとか思ってくれたのかな。

そうだったらいいな。
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