私だけのナイトプリンス
告白は彼からだった。――突然二人きりの場所に呼び出されて・・・。
あまり話したことはなかった。同じ部署ではあるけれど、業務連絡ぐらいでしか話したことなかった。だから、『彼』がどんな人間かなんて考えたこともなかった。
小柄でどことなく冷たい、私が抱いていた『彼』のイメージはそれだけだった。
最初は彼の真意が分からなかった。からかわれているのか、それとも本当に告白されているのか。私は彼のことを知らない。けれども、彼は私のことを知っている。どこでそんなに私のことを見られていたのかと、恐ろしくも思った。

その日は、連絡先を交換してお互いの帰路に着いた。無口な彼は、彼らしく特に連絡してくる訳でもなくやはりからかわれたのかと思った。

(どうして告白なんてされたのかな?)

彼はどう思っているのか?からかったにしてももっとリアクションが面白くて後腐れしなさそうな女の子も同じ部署に何人かいる。彼は本当に私のことが好きなのだろうか。告白されてまんざらでもない。だけど、もしからかわれただけだったら・・・。私は傷つくのが怖くて考えることをやめた。そして、蓋をした。もやもやした気持ちを抱えたまま私は浅い眠りについた。


翌日から、私は彼をよく見るようになった。彼に意識を向けていると、彼のいろいろなことが分かる。小柄な体格。それ相応に顔も幼い。けれども、端正で、どことなく儚い顔の彼。すごく綺麗な彼の顔。それなのに、仕事中は表情を動かさなくて、まるでサイボーグみたい。若いながらに仕事はできるほうらしく、よく課長や部長に仕事を持ち掛けられている。

だけど、彼のそんな様子を見るたびますます彼の真意が分からなくなってきた。あんなに綺麗な顔をしているならいくらでも私よりレベルの高い女の子と付き合えるだろう。だけど、仕事中の様子を見ていたら彼は恋愛事に興味のなさそうな絶食系男子に見える。不思議な不思議な彼。


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