Mr.ハードボイルド
「さぁて、肉もたっぷり食ったし、キャバクラでも行くか!」
「ちょっと、トミー、なに言ってるのよ!今日はオカマバーに行くのよ!私、キャバクラなんか入れないわよ」
「なんだよ、オカマバーってさ。俺はあいにくソッチの趣味はねぇんだ。それに、オマエ、昔キャバクラで働いてたんだから、気心知れてんだろ?」
俺の言葉にニーナのヤツは、眉間にシワを寄せて睨みつけやがった。
美人さんなだけに、そういうツラは迫力ありますなぁ。
「わかった、わかった、さっきのは酒の上の冗談だ!だから、そんな顔で睨むなよぅ。よぉ~し、じゃあ、さっさとオカマちゃんとこに行こうぜ」
とりあえず、観念しましたよ、新名女史。
「いらっしゃ~い」
扉を開けるとマッチョな女装したオッサンが出迎えてくれた。
『BAR マダムローズ』か、勘弁してくれ、ローズさんよぉ。
まぁ、最初はそんな感じだったが、そのうちに彼女(彼?)たちの明るいテンションに気分もよくなってきた。
ニーナもペースよく飲んでいて、化粧品や美顔メイクについて彼女(彼だろうな、やっぱり)と熱く語り合っていた。
「トミーちゃん、うちの人気No.1のコ紹介するわね」
ダミ声マッチョのローズママさんが俺にしなだれかかりながら言った。
た、頼むから、アンタのそのゴツい手で俺のモモを撫でくり回すのはやめてくれ。
「はじめまして」
俺がママさんから逃げ出そうとしてるところへ、背後から声がかけられた。
ん?なんだろう、この感じは?