Mr.ハードボイルド
「ねぇ、トミー、今夜時間ある?」
俺の好物のモカを入れながら、ニーナは俺に訊いてきた。
「ん?今夜か?大丈夫じゃねぇかな。変な依頼が飛び込んでこなけりゃ」
タバコに火を点けながら、俺は答えた。
「じゃあ、今夜、ご飯食べにいこうよ。いいお店見つけたの」
彼女は嬉々とした表情を俺に向けた。
「なに屋だ?」
「ちょっとコジャレた焼き鳥屋なの。ワインとかも色々揃ってて行ってみたいの」
楽しそうに話すニーナを見て、俺もなんだか、幸せな気分になった。
「あぁ、いいぜ。今日は確か、午前中に山内豆腐店のオヤジさんの手伝いと、午後からローズママのとこの改装の手伝いくらいしかねぇから。7時にゃあがれるだろ。必要なら、その店の予約いれとけよ」
色々と計画をたてたりすると、なんつうか、世の中ってなかなか上手くいかねぇもんで、ったく、こんな時によりによって、なぁ、まさか、骨折するとは思わなかったよ、ホント。