Mr.ハードボイルド
翌日あっさりと手術は終わった。
もちろん、骨はまだ付いちゃいないが、骨の中に1本の棒を突っ込んでつないだだけで、ウソのように痛みは無くなった。
「どうですか?富井さん」
受け持ち看護師の鹿島さんが、主治医の木下先生とともに現れた。
「なんだか、すげぇ楽になりましたよ。全然痛くない」
俺の言葉に木下先生は笑いながら言った。
「ドクターが優秀だからね」
その言葉に鹿島さんが、
「富井さん、今のは信じちゃダメよ」
と、笑いながら言った。
彼女は木下先生よりちょっと年上なのだろうか、木下先生は鹿島さんの尻に敷かれているように見える。
なんとなく、微笑ましい。
「そういえば、富井さん。オペ中に奥様かしらね、心配していらしてたけど、どこに行っちゃったのかしら?」
ん?
俺ぁ、独身だぜ!
まぁ、多分、ニーナのヤツだろう。
そういえば、アイツどこ行ってんだ、手術終わったてのによ。
そう、思ったところで、病室の扉が開いた。
「ほら、奥様がいらっしゃいましたよ」
俺の視線の先には、祐希ちゃんが立っていた。
いや、あの、奥様じゃ、ないッス。