Mr.ハードボイルド
彼女の思い出
俺の名はトミー
しがない、なんでも屋さ。
店の用心棒から園児の送迎、はたまた要人の護衛まで、依頼されたものはなんでもこなす、なんでも屋だ。
それにしても、男の朝飯は、バターをたっぷり塗ったトーストと、粗挽きにしたモカの豆から入れたコーヒー、それに、かたゆでたまご(ハードボイルド)にかぎるぜ。
間違っても、俺は、白米にみそ汁、それに、納豆などという朝飯は食わない。
おっと、俺の相棒ニーナのご出社だ。
「おはよう、トミー」
彼女の登場で、タバコの臭いとコーヒーの香りの染み付いたこのオフィスはいきなり華やいだ雰囲気に変わった。
「おはよう、ニーナ、今日も一段とキレイだな。恋する女はキレイだって、よく言ったもんだな」
俺の言葉に笑顔を見せて彼女は言った。
「トミー、私にもモカを入れてくれない?」
「あぁ、任せとけ。そこらの喫茶店より美味いモカを飲ませてやるさ」
まぁ、もう4ヶ月程前だが、俺は足を骨折しちまってちょいとばかし入院したことがあった。
怪我のほうはスッカリ良くなって、おかげでこのオフィスを再開することが出来るようになった。
まぁ、その時はツラかったなぁ。
ニーナにもスッカリ迷惑かけちまったし、その他、色々な人に心配をかけちまった。
だが、もう安心してくれ。
この俺はスッカリ元通りだ。