Mr.ハードボイルド
「なぁ、菅原さん、旦那さんとユックリと話してやんな。俺は向こうで一服しながら待たせてもらうから」
そう言って、俺は喫煙所に足を向けた。
まぁ、募る話もいっぱいあるだろうから、俺みたいな他人がいるのも野暮ってもんだろ。
ユックリと色々な事、旦那さんに報告してやってくれ。
その間は、俺はユックリとタバコと缶コーヒーでも味あわせてもらうよ。
まぁ、それにしても、改めて思ったが、人間たぁ、誰にも平等に歳ってものをとらせてくれやがる。
死んじまったヤツは、それ以上歳をとらねぇけど、生きているヤツは必ず歳をとる。
正直、普段そんなことは感じないで生きているが、俺にしろニーナにしろ、あと50年もすりゃあ、菅原のバアさんと同じくらいの年齢になる。
菅原のバアさんだって、昔からバアさんだったワケじゃねぇんだろうし、さっき言ったように若い頃は美人だったのかもしれない。
まぁ、あのバアさんの自己申告だから怪しいもんだがな。
俺ももう、20代最後の年だし色々と考えにゃならんかなぁ?
まぁ、とりあえずだ、今日1日は、あのバアさんの言うことに付き合ってやるか。
墓の方から菅原のバアさんが戻ってきた。
「よぅ、菅原さん、旦那さんにタップリと愛の言葉を伝えてやったか?」