Mr.ハードボイルド



まぁ、なんやかんやで、俺とニーナ、それに祐希ちゃんとローズママは、『笹の川商店街クリスマスセールイベント』の手伝いをすることとなった。
ニーナと祐希ちゃんはこの寒い最中、赤いミニのサンタワンピースを着て商店街を行ったり来たり走り回っている。
ほぅ、なかなか彼女たち、人気があるようだ。
子供連れのお父さんたちが足を止めている。

おいおい、旦那さんよ、あんまり鼻の下を伸ばして彼女たちの生足ばっかり見てると、隣にいる奥さんに怒られちまうぜ。

で、俺はなにしてるかっていうと、赤い鼻と角を2本頭に付けて、トナカイさんをやっている。
まぁ、俺は別にいいんだが、向こうにいるローズママが問題だ。
ヒーローショーの悪役怪人みたいになってやがるよ、まったく。
怪人・おかまトナカイ現るっ!
ってタイトルが付きそうだぜ、ホント。
でも、子供たちには人気者になってやがるよ。
あんな厳つい体してオネエ言葉話すもんだから、子供たちにとっちゃ、本物の怪人に見えるのかもしれないな。
今日、1番のハマり役かもな。

ニーナと祐希ちゃんがお父さんたちに、ローズママが子供たちに人気者になってるとあっちゃ、残った俺が、家庭の財布を管理している奥様たちの人気者になるしかねぇな。

「メリークリスマス、キレイな奥様方。今日は笹の川商店街のクリスマスセールやってますよ!」

そう、言いながら俺はトナカイさんの格好で商店街の割引クーポン券を配って歩いた。
そんな中、でニーナと祐希ちゃんの声が商店街に響く。

「もうじき大福引き大会も始まるから、ぜひ寄ってってぇ~」

おそらく、俺の魅力につられてのことだろう、決して福引きやクーポン券の力ではないと思うが、奥様方はズイズイと商店街に足を向けていった。

< 73 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop