Mr.ハードボイルド



宝石関係の事には、マッタク疎い俺にとって、祐希ちゃんは願ってもない援軍だった。
ただ、彼女の気持ちを思うと、心が痛む。
俺は心の中で何度も何度も祐希ちゃんに謝った。
まぁ、結局は口に出して言うことはできなかったが。

俺は祐希ちゃんに連れられてジュエリーショップに向かった。
彼女のアドバイスで俺はダイヤの指輪を買うことにした。

「ねぇ、富井さん、ニーナさんの指輪のサイズ知ってる?」

指輪のサイズ?
マッタクわからん。
そんなものが存在している事すら知らなかったぜ。

「これだから男の人って」

ブツブツと祐希ちゃんは文句を言っていた。

祐希ちゃん、アナタも元々は男だったよね?
そんな、間違っても口には出せない言葉を頭の中に思いつつ、彼女の言葉を聞いていた。

「確かね、ニーナさんの指すごく細いの。私の小指が彼女の薬指くらいだったわ」

そう言って彼女は指輪のサイズを選び始めた。

「やっぱり6号ね。多分このサイズでピッタリよ。この前、私が小指にしてた指輪がニーナさんの薬指にピッタリだったから」

ほぅ、女の子たちってそんなことしてんのか?
男で言うなれば、さながら、アレの大きさがナニであってって……
おっと、そりゃマズいか!

俺は結局、祐希ちゃんが選んでくれた幾つかの候補の中から、1番俺自身が気に入ったデザインのものを選んで購入する事にした。
サイズもあるということなので、俺はそのまま持ち帰ることにした。
イニシャルは後日、刻印に出せばいい。

「ねぇ、富井さん、お値段高いけど大丈夫?それ、12万じゃなくて120万よ」

祐希ちゃんは心配そうに俺に言った。

「んあ?全然問題ないぜ」

そう言って、俺は店員にカードを渡した。

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