Mr.ハードボイルド


なんか、祐希ちゃんには、ホント、申し訳ないが、ただ、こればっかりは、どうしようもならねぇよなぁ。
俺はニーナに心底惚れてんだ。
嘘、偽りなく惚れてんだ。
俺は、アイツとこれからもずっと一緒に生きていきたいんだ。

ん、そうだ!
アレを用意していこうかな?

俺はふとした思いつきで区役所に足を向けた。

えぇと、どれだ?
戸籍関係の書類だから、この辺かな?
おっ、あったあった。
で、この緑色の用紙かな?
あっ、なんだこりゃ?
縁起でもねぇ、洒落にもならん。
なんだ、こっちの茶色い文字の用紙なのか。
とりあえず、こいつを1枚もらってっか。
う~ん、ニーナのことだから、この緑色の用紙持っていったら笑ってくれるかもな。
よし、じゃあ、両方とも1枚づつもらっていくか。

俺は区役所で2枚の用紙をもらい、帰路についた。
途中、喫茶店に寄り心を落ち着かせるためにモカを1杯飲んだ。
そして、それぞれの用紙に自分の名前を記入して、ついでに捺印もしておいた。

俺はオフィスに戻った。
ニーナはデスクで暇そうに雑誌をパラパラと眺めているようだった。

「おかえり、トミー、遅かったわね。どこに行ってたの?」

「あぁ、野暮用で色々とな」

「ふ~ん、で、その袋はなに?」

「あ、あぁ、これは祐希ちゃんからチョコレートもらってな」

「ふ~ん、相変わらずモテるわね、トミーは」

あの、なんか、彼女の背後にどす黒いオーラのようなものが見える気がするんですが、俺。
やっぱり、怒っていらっしゃいますよね?

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