Mr.ハードボイルド

真理もご多分に漏れず、俺の言葉に嬉しそうに笑顔をみせた。

「富井君、わかる？嬉しい～」

彼女はご満悦な様子でグラスにビールを注いだ。

「あっ！私も飲んでいい？」

俺の返事を待つまでもなく彼女は自分のぶんのグラスを用意していた。

「真理、おまえ、俺がダメって言ったって飲むつもりだろ？まぁ、かまわねぇよ。再会を祝してなんたらってやつだ」

「さすが富井君。まぁ、私と君の仲だし、ハナから遠慮するつもりなんかないけどね」

彼女はそう言って、自分のグラスにとくとくビールを注いだ。

「ったく、その辺も昔から変わってねぇなぁ。まぁ、いいか。じゃあとりあえず乾杯すっか」

俺たちはグラスを軽くぶつけ偶然の再会に乾杯した。
彼女は一気にグラスを飲み干した。
そして再び自分のグラスにビールを注ぐ。
それを見て、俺は思わず口元を緩めてしまった。

「富井君、なにニヤニヤしてるのよ。あっ、もしかして、なんかイヤラシイこと考えてるんでしょ？」

俺の口元を見ながら真理はそんなことを言った。

「バカ、そんなんじゃねぇよ。たださ、おまえ昔と変わってねぇなって思ってよ」