善悪の境界線
「……ん?次は十七番だよな?」
富樫先生が首を傾げる。
すると、声があがる。
「………はい、そうです。わたしです。十七番、佐倉 夏期(さくら なつき)です。今急に飛び出してったバカ姉の双子の妹です。こんなだけど、よろしくお願いします。」
その子はペコンと頭を下げた。……すごい、同じ顔。今まで同級生に双子がいなかったのですこしびっくりした。でも、夏期がつり目で冬期がたれ目、そして髪型も左右対象。夏期な右結いの横結び、冬期は左結い。茶色のきれいな髪の毛。なんとか見分けられそうだ。
「バカってなによーお姉さんに向かってー」
ぷぅ、と冬期がむくれる。
「実際わたしの方が頭いいでしょ。それに、わたしの方が出席番号はやいし。ほら、つぎ冬期の番でしょ。早くしなさいよ。」
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