善悪の境界線
「やっと敬語やめてくれたね……じゃなくって、結局、手伝って貰えるのかな……?」
………そうか。話を聞いて納得してただけで、返事はしてなかったっけ。
「…………それって、危険?」
「………えっ……そ、それは、えーと…」
「冬期。」
冬期が答えあぐねていると、夏期が口を挟んできた。
「嘘ついてたり誤魔化したりしても仕方ないでしょ。はっきり言うわね、物凄く危険よ。命を落とす可能性だってある。」
「………ふーん……」
…………………自分で聞いておいて、すごくどうでもいいと感じた。私は正直、生きることに執着していない。痛いのは嫌だけど、死ぬのは別に怖くない。
……そして、私は丁度、生きる理由を探していた。
………中二病って罵ってもいい。恥ずかしいから人を助けるための口実をつくっていると勝手に解釈しても構わない。でも、本当に、私は生きる理由を探していた。こんななにもない、いるかいないかも認識されないで生きるんだったら、この世界を救って死んだほうが、よっぽど充実しているのではないだろうか?
「………それで、私はあなたたちに必要としてもらえる?」
必要としてくれる人すらいなくなった、こんな私を拾ってくれる人がいるのに、それを断る理由がどこにある…?
「………?もちろん、当たり前だよ!だって、青藍ちゃんは世界のヒーローになるんだから!」



ドクン………



私の中で、止まっていた歯車が動き出す気がした。
「…………………やる」
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