善悪の境界線
「………え?」
「やるって、言ってるのよ。それとも、やっぱりいらない?」
二人とも呆気にとられた顔をしていた。
「………っち、違う!びっくりしただけ!本当に、やってくれるんだよね!?」
「そう言ってるじゃない。」
二人の顔がだんだん喜びに変わっていった。
「……………ぃゃったーーーーーーーー!!!」
「ちょ、声、大きい……!」
冬期が飛び跳ねて喜んでいる。夏期もふっと笑い、こちらを見ていた。
「…………ありがとう。助かるわ、これからよろしくね。」
「…………お礼を言われることなんてまだしてないわ。やるっていうのは私の意志だし。」
「ふふっ……本当に、私好みの性格なんだから。」
本当、こっちがそう思うよ。
「ささっ」
声がしたので見ると、さっきまで飛び跳ねていた冬期が夏期になにか宝石のようなものを渡した。
「青藍ちゃんの気が変わらないうちに、早くっ」
「そんな早く変わるわけないでしょ。……でもまあ、早いに越したことはないわね。神崎さん、手を出してもらえる?」
………手?な、なんで?
疑問に思いながらも左手を差し出す。
「………」
夏期は深く息を吸って、言葉を口にした。
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