善悪の境界線
………………!?
そこには、小さなドラゴンがいた。というか、手に乗っていた。儚く、今にも消えてしまいそうなほど透けていて、実体があるのかも分からない。
宝石は割れていなく、ドラゴンの頭上で光り続けている。
「…………え、えええ!?やっ、ちょ、なに!?」
小さなドラゴンは私の方を見て、一礼した。そして、口を開いた。
「…………本当に、我と契約をするのか。」
「…っえ、」
いや、契約とか言われても分からない…。
「な、夏期、これは、契約することで天使の味方になるということなのかしら…?」
恐る恐る夏期に問う。帰ってきた答えは、想像通りだった。
「ええ、そうよ。その守護神と契約することで彼があなたの体に入り特殊な能力を手に入れることができるの。」
……………な、なるほどね。体に入って私に力を貸す、ってところかしら。
「……分かったわ。………じゃあ、契約前に一つだけ、あなたに質問があるの。」
夏期に返事をしてから、私はドラゴンに向けて質問をした。
「……なんだ?我に答えられることであればなんでも。」
「………いや、違うわ、深刻なことじゃないの。ただ……知っておきたいだけ。」
夏期や冬期の目線が私に集中している。いや、ほんとどうでもいい話なんだけど……。
「………あなたの、名前は?」
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