善悪の境界線
「ありがとう。本当にありがとう。」
夏期になんども頭を下げられた。
「え…いや、大丈夫。とにかく、そういうことね。……それで、今までの話の中でいくつか疑問がうかんだんだけど………いいかしら?」
控え目に私はきりだす。
「……いいけれど、とりあえず着替えましょうか?」
夏期に聞かれて、思い出す。たしかに寒いし、何より恥ずかしい。ここ、体育館裏の倉庫だよ……。
「そうしたいところね。ど、どうやってやるのかしら?」
私は袖を摘みながら問う。
「我が説明しよう。」
クリスティアのこえがして上を向く。
「爪の模様に触れながら、制服姿の自分を思い浮かべるのだ。それだけでいい。」
そ、そんなことでいいの?とにかくやってみる。
制服の私……っと。
ポンッ
変身したときとは反対に簡単に戻れた。クリスティアは私の肩に乗っている。また小さなドラゴンになった。
「………大概なんでもありなのね。」
私は呆れ顔でため息をついた。
「天使だもーん。ところで、質問って?」
冬期が聞いてくる。
「……ああ、そうね。まず…」
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