善悪の境界線
すると、凄まじい光に包まれる。変身する時と同じような感覚に陥った。
「………!!」
うまく声を出せずにいると、地に足がついた感覚があったので、目を開けた。
「……え…」
目を開けるとそこは、教会の様なところだった。聖なる場所、って感じの…。
「………すごい…」
私がつぶやくと、冬期がニコッとこっちに顔を…って えええ。
「どーおー?すごいでしょ!ここはシェルターなの!天使側の秘密基地!さっきの方法を緑が原公園でやると来れるから、覚えておいて!ビックリしたー?」
…………そう言って笑う冬期と思わしき人物は、くるりとまわってみせた。
「びっくり…してるのは、シェルターもだけど、あなたの格好によ…どういうことか、説明して欲しいんだけど」
冬期のことを『思わしき』と回りくどく言ったのは、見た目が変わっていたからだ。顔はそのままだけど、髪型が下側の横結びから上側にかわり、髪ものび、色も水色になっている。目の色も緑から水色に変わっていた。緑の時点で少し違和感は合ったが青眼になると本当に日本人には見えない。服装も、制服から真っ白なまるで天使のような服を着ていた。そして恐る恐る隣を見ると、夏期もいた。同じく変わっている。
「ああ!忘れてた!うふふっ!これが本来の姿なんだ!天使!シェルターにくると変わるの!」
か、変わるって…本当に天使みたいね。いや、天使なのか…。本当はこのふたりはきっと偉い地位にいるんだろうなってことくらいは分かるし。
「シェルターに来たら変わるというか、このシェルターって、天界に存在しているのよ。天界にくると天使に戻るの。それだけよ。」
今まで黙っていた夏期が補足する。なるほどね。
「………分かった。もうこれくらいじゃ驚かないようにしないとね。」
夏期と冬期はニコッと私に笑顔を向けた。
「………ところで、さっきからあそこにいるのが、さっき言ってた人のことで、あってるのよね?」
こちらから見て背を向けて座っている女の子がいる。到着して、建物と2人にびっくりしたあと、すぐに気になった。
「………ご名答。」
夏期と冬期はさっきとはちがう不敵な笑みを浮かべて、私に向き直った。
< 42 / 44 >

この作品をシェア

pagetop