善悪の境界線
背を向けていた人物は、すくっと立ち上がった。そして、くるりとこちらに顔を向ける。
「あっ!夏期、冬期!待ってたよ………誰、その子?」
こちらの会話は聞こえていなかったようで、不快感を顔に表してくる女の子。声は可愛いアニメ声で、快活そうに結ばれた赤いツインテール。身長は私よりも低い。制服が違って…確か、旗本女子大学付属高等学校の制服。動きやすそうに短くされたスカートにスパッツを履いていて、靴下はくるぶし。
「くうちゃん~こっちきてー!紹介するからさぁー!」
冬期が女の子に声をかける。女の子は不快感を示しながらも、渋々こちらに歩みよってきた。
「青藍ちゃん、自己紹介して!」
冬期に小声で呟かれた。…私が自己紹介苦手なの知ってるでしょうに…。
「………え、と。神崎青藍って言います。今日から天使と悪魔の戦いに加わることになりました。よろしくお願いします……。」
あー。本当にダメダメだ。
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