猫足のバスタブ、愛の誓い




全てを終えて真っ白な壺を抱えて3日ぶりに帰った502は警察からの電話をとり慌てて飛び出したあの日から何一つ変わっていなかった

変わっていなかったけど、そこは、もうあの部屋ではなかった

外は雨、じきに日も落ちる


真っ暗な部屋はただ広くがらんとしていた


私はその場に座り込んだ
無意識のうちに頬を一筋の光が伝っていた


玄関のドアが開く音にはっとなって座り込んだまま振り返ると彼が喪服のまま突っ立っていた

目が合うと乱暴に靴を脱ぎ捨て部屋に上がり私を包み込んだ

鼻腔を彼の匂いが掠める

途端に抑えていたものが溢れ出した



これからどうしよう、とか


学校辞めて働かなきゃ、とか



この部屋はどうなるの、とか




いっぱいいっぱい考えなきゃいけないことはあったけど

今だけはこの温もりに甘えたかった




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