雪の朝、君が眠りにつく前に
「今日、すごく寒いの。
雪が降るんじゃないかって予報よ。
屋内にいたら、わからないわね」
〈ホワイトクリスマスってわけか〉
朝綺の視線が病室の隅へと動いた。
そこに小さなクリスマスツリーがある。
例によって、朝綺がわがままを言って取り寄せた。
飾り付けをしたのは、あたしだったけど。
朝綺はいろいろ口うるさかった。
星が歪んでるとか、ジンジャークッキーは本物がいいとか。
〈ケーキ、おれも食いたい〉
「無茶言わないで」
〈麗【うらら】がおれのぶんまでうまそうに食ってみせて〉
「うまそうにって……無茶、言わないで」
あたしがいつも仏頂面なの、わかってるくせに。